Dominus Estateドミナス・エステートはフランス・ボルドー地方(右岸)の著名な生産者Jean-Pierre Moueix社を実家に持つChristian Moueixが何世紀にもわたるボルドーの伝統と、ナパバレーの恵まれたテロワールを融合して表現したナパバレートップクラスのワイナリーです。父Jean Pierre Moueixはボルドーの右岸の発展に大きく貢献した人物で、特にボルドー・右岸の頂点Chateau Petrusシャトー・ペトリュスを世界最高レベルにまで育てたオーナーとしても有名です。
ドミナス・エステートについて
最初のヴィンテージは1983年で、ワイナリーが完成するまで近くのRombauer Wineryでワインを造っていました。微調整を繰り返し、ワインの品質とスタイルに満足できるようになったのは1980年代後半頃でした。
1990年、1991年、1992年のヴィンテージではロバートパーカー監修ワインアドヴォケイト誌でも高評価を得られるようになりました。
そして、1995年にChristian MoueixはRobin LailとMarcia Smithから、残りの土地の所有権を買い取り完全な所有者となりました。
勢いが止まらないドミナス・エステート
1996年にドミナス・エステート第2弾となるNapa Nookをリリース。ドミナスと同じナパヌックの畑のブドウを使用しますが、日当たりの良い側の畑と比較的新しい畑から収穫されたブドウで造られ、お手頃な価格で高い満足度が得られるように造られた、早期熟成早飲みタイプのセカンド的なワインです。
Dominus、Napanook以外にも続々とリリース!
2006年にサード的な位置付けのOthelloをリリース。これはドミナス・エステートと同じヨントヴィルの自社畑の区画違いの若樹から収穫したブドウを使用しており、セカンド的な位置付けであるNapanookよりも更に早くから楽しめるワインに仕上がっています。
2008年にはUlysses Vineyardを取得しました。マヤカマス山脈の麓にあるナパバレーは、オークヴィルに位置し、かつてはCharles Hopper Ranchと呼ばれていた畑でした。その後、Schmidt Ranchという名前に代わり、Schmidt RanchではブドウをSwanson Vineyardsへ販売していました。
この土地はドミナス・エステートから近く、Christian Moueixが自転車で通り、Napanookの水捌けの良い西部に似た土壌である事に気付き目を付けていた土地であると言われています。Ulysses Vineyardの取得によりオークヴィルでの新たな挑戦が始まりました。
2009年にはCarpe Diem Cabernet Sauvignonをリリースします。Carpe Diemは同じMaisons Marques & Domaines傘下のブランドで、ピノノワールとシャルドネはメンドシーノ郡アンダーソンバレーのブドウから
、カベルネソー・ヴィニヨンはナパ郡ナパバレーのブドウから造られます。
ピノノワールとシャルドネはRoedererのワイン醸造チームが担当し、カベルネ・ソーヴィニョンはChristian Moueix率いるドミナス・エステートの醸造チームが担当しています。

1983年から1990年までは、まだ独自のアイデンティティを持っていなかったため、ラベルにはChristian Moueixの肖像画をアーティストに依頼する形で描かれていましたが、1991年ヴィンテージからはクラシックなボルドースタイルのラベルがアーティストシリーズに取って代わりました。
2010年、2013年、2015年、2016年にロバートパーカー監修ワインアドヴォケイト誌にて100点満点を獲得。
Christian MoueixとDominus Estateが獲得した輝かしい受賞歴
2008年にニューヨーク市James Beard FoundationからLegend of Wineを受賞しました。この賞は、毎年James Beardの5月5日の誕生日に行われ、シェフ、レストラン経営者、著者、ジャーナリストを表彰するものです。
また、同年に世界90ヶ国以上で愛読されるイギリスのワイン雑誌Decanterにて、Christian MoueixがMan of the Yearに選ばれました。この賞はその年の素晴らしいワインメーカーに贈られる名誉ある賞です。
同じく2008年にはドミナス・エステートがTastingbook.com主催のBest Wine of the Worldに選ばれました。これはワイン消費者とワイン専門家による投票形式で50のワインを決め、第2フェーズでは専門家によるブラインドテイスティングで評価を決めます。
Tastingbook.comは世界中の何千人ものワイン専門家やワイナリーから信頼されている世界最大のワイン情報プラットフォームです。
ドミナス・エステートとChristian Moueixのその後
Christian Moueixは2017年にボルドー右岸のClos La MadeleineとChateau Magnan La Gaffeliereを取得しました。まだまだボルドー右岸の発展に力を注ぐようです。
Christian Moueixには2人の子供が居ます。EdouardはChristian Moueixの会社Ets Jean-Pierre Moueixのゼネラルマネージャーを務めます。
Charlotteは南アフリカの野生動物獣医師として活躍。また、妻のCheriseはドミナス・エステートのクリエイティブディレクターを務めています。
2019年にワインビジネスで50周年を迎えたChristian Moueixは2020年現在74歳です。それでも未だワインビジネスには意欲的です。

左上:Christian and Edouard Moueix 中上:Charlotte Moueix
右上:Christian Moueix and Cherise 下:Christian Moueix 2019
参照元:dreyfusashby.com, facebook.com, agency.moanalanijeffrey.com, winespectator.com
テイスティング・レポート
Dominus 1998 vs Napanook 2006 vs Othello 2006
2020年4月14日
3種とも同じ畑でファースト、セカンド、サード的な位置付けを飲み比べます。ヴィンテージの選定も各ワインの飲み頃に合わせて選定。
Dominus 1998
熟したブラックベリー、干しプラムの香りから始まり、次にダークチョコレートのニュアンスが現れる。
ややスパイシーで葉巻や枯れ葉のニュアンスが多少感じられる。甘みはソフトで酸味は滑らか。タンニンはこのヴィンテージにしてはシッカリとしている。玄人向けの印象。
Napanook 2006
熟したブラックベリー、干しプラムの香りから始まり、次にカカオやココアの香りが感じ取れる。
ややメントールやミントのニュアンスも取れる。甘みはソフトで酸味は生き生きとしてシッカリ残っている。タンニンにはカベルネ・ソーヴィニョン特有の収斂性がある。
Othello 2006
ラズベリー、ブラックベリーの香りから始まり、次に強いカカオやココアの香りが感じられる。甘みはソフトで新鮮な酸が印象的。タンニンには収斂性が感じられる。
この3つのテイスティングを通して、サード的な位置付けのOthelloが最もバランスが良く一般受けしそうな印象を受けました。Dominusは格上感があり、その複雑性からかなり玄人向け。Napanookはセカンド的な位置付けではありますがコスパの良いワインと判断できそうです。
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