Dalla Valle Vineyards

Dalla Valle Vineyards ダラ・ヴァレ・ヴィンヤーズ

Oakvilleオークヴィルで世界レベルのカベルネ・ソーヴィニョン(ボルドーブレンド)を造りだす日本人女性醸造家ナオコ・ダラ・ヴァレが運営するワイナリーDalla Valle Vineyardsダラ・ヴァレ・ヴィンヤーズの歴史と功績をご紹介します。

ロバート・パーカー監修ワインアドヴォケイト誌で100点満点を4回獲得しているダラ・ヴァレ・ヴィンヤーズのフラッグシップMayaを含む貴重なバックヴィンテージのテイスティング・レポートもあわせてお届けします。

ダラ・ヴァレについて

Gustav Dalla Valle,Naoko Dalla Valle,Dalla Valle Vineyard

左上:Gustav Dalla Valle 右上:Naoko Dalla Valle
参照元:divingalmanac.com, dallavallevineyards.com, forbes.com

1979年代後半にイタリア出身のスキューバダイビング器具会社ScubaproのオーナーGustave Dalla Valleと、兵庫県出身のナオコは東京の職場で出会いました。

彼らは結婚してナパバレーへ移住しました。そこで、リゾートとレストランを開くつもりでしたが、Gustave Dalla Valleの実家はイタリアで伝統あるワイン醸造家であり、ナオコの実家は日本酒の酒造家という事もあり、1982年に購入した土地がワイン造りに適している事に気付き、カリフォルニア州オークヴィル東部のこの土地(丘の中腹で最大450フィート)にカベルネ・ソーヴィニョン、カベルネ・フラン、サンジョベーゼを植えました。

畑は霧の上にあるため温暖ですが、サンパブロ湾からの一貫して吹くそよ風が冷却効果をもたらし、ブドウに自然な酸味を与えます。また、花崗岩の岩が分解し、水捌けの良いミネラル豊富な火山性土壌もワイン造りには好条件でした。

Dalla Valle Winery,Dalla Valle Logo

左:Dalla Valle Winery 右:Dalla Valle Logo
参照元:dallavallevineyards.com

ファーストヴィンテージは1986年で、同じ年にイタリア・トスカーナスタイルのワイナリーを建設しました。

ダラ・ヴァレ・ヴィンヤーズのロゴは、地中海でのダイビング中にGustave Dalla Valleが発見したアンフォラの1つをモデルにしています。

アンフォラとは2つの持ち手がある陶器で素焼きの瓶です。
※紀元前6,000年にも遡る時代、ジョージアでワインの運搬・貯蔵の目的で使用されていました。

Maya1987年長女Mayaが生まれた年に5エーカーの土地に特別なカベルネ・ソーヴィニョンを植え(Maya Block)、厳選されたカベルネ・ソーヴィニョンとカベルネ・フランのブレンドで造るDalla Valle Maya Proprietary Red Blendを1988年にリリースします。
これは娘の名前にちなんで名付けられました。

その年によって異なりますが比較的カベルネ・フランの割合が多いのが特徴。そしてこのMayaは後にロバート・パーカー監修ワインアドヴォケイト誌でパーカーポイント100点満点を4度も獲得する事になります。

1990年代には、Gustave Dalla Valleがイタリア出身という事もあってPietre Rosseという名称でSangioveseをリリースしていましたが、2001年までに段階的に廃止されました。

夫の死、そしてダラ・ヴァレ第2章の幕開け

1995年の冬に夫Gustave Dalla Valleが亡くなりました。さらにちょうどこの頃ブドウ畑が病気(葉巻病)になり始めました。

このような事から誰もがナオコがワイナリーを売ると思っていました。ところが、1995年にリリースされたダラ・ヴァレのワインには1992年ヴィンテージのMayaが含まれており、このDalla Valle Maya Proprietary Red Blendが初のパーカーポイント100点満点を獲得したのです。

ナオコは1年間ワイナリー売却を考えましたが、この事(RP100点獲得)が影響して、自身でワイナリーを運営していく事を決めたのでした。
ナオコはワインメーカーをHeidi BarretからTony Soterと彼のアシスタントであるMia Kleinに変え、25エーカーもあるブドウ畑の一部の再植林に着手しました。新たなダラ・ヴァレ・ヴィンヤーズの誕生です。

ダラ・ヴァレ・ヴィンヤーズを支えた歴代ワインメーカー

ダラ・ヴァレではJoe Cafaroに始まり、Heidi Barret、Tony Soter、Mia Klein、Philippe Melka、Andy Erickson等何年にもわたり並外れたワインメーカーが就任しています。またコンサルタントにはMichel Rollandを招いています。

最初のワインメーカーはJoe Cafaro。Keenan、Acacia、Robert Sinskey、Oakville Ranchでワイン造りに関与し、1986年に自身のCafaro Cellarsを設立。その後、1988年にHeidi Barretがワインメーカーを引き継ぎます。

そして、ダラ・ヴァレ・ヴィンヤーズのフラッグシップMayaで1992年ヴィンテージがパーカーポイント100点満点を獲得し、一気にダラ・ヴァレ・ヴィンヤーズの知名度を上げます。その後1995年にHeidi BarretからTony Soterと彼のアシスタントMia Kleinに引き継がれました。

Tony SoterはStag’s Leap、Araujo、Niebaum-Coppola、Spottswoode、Shafer、Etude等を手掛け、後に自身のブランドSoter Vineyardsをオレゴンで設立した実力者です。
ワインメーカーの職はまだまだ引き継がれていきます。2007年にPhilippe MelkaからAndy Ericksonに引き継がれると、同じ年にMichel Rollandをコンサルタントに迎え万全の態勢を整えました。

Andy Erickson,Michel Rolland

左:Andy Erickson 右:Michel Rolland
参照元:dallavallevineyards.com

Andy EricksonはStag’s Leap Wine Cellars、Harlan Estate、Staglin Family Vineyards、Screaming Eagle等で活躍した著名なワインメーカーで、Michel RollandはChateau Angelus、Chateau Ausone、Harlan Estate等をサポートしてきた世界的に活躍するコンサルタント。

そして、Andy EricksonとMichel Rollandは現在もダラ・ヴァレ・ヴィンヤーズのワイン造りを支える重要な人物です。

リリースワイン一覧

Collina Dalla Valle
COLLINA DALLA VALLEイタリア語で「丘」を意味するCollinaは2007年から生産が開始されており、自社畑のカベルネ・ソーヴィニョンとカベルネ・フランの中でも他のワインより若いブドウから造られたセカンド的な位置付けのワインで、比較的早い時期から飲めるように仕上がっています。
Dalla Valle Cabernet Sauvignon
DALLA VALLE CABERNET SAUVIGNON20エーカーの比較的小さな敷地にあるカベルネ・ソーヴィニョンとカベルネ・フランのブレンドで造られます。メインはカベルネ・ソーヴィニョンで、約7割を占めます。ファーストヴィンテージは1986年で、ダラ・ヴァレ・ヴィンヤーズで最初にリリースされたワインです。
Maya
MAYA自社畑の中で最上級のカベルネ・ソーヴィニョンとカベルネ・フランをブレンドして造られます。主にマヤブロックから収穫されたブドウを使用しており、カベルネ・フランのブレンド比率が比較的高いのが特徴。ファーストヴィンテージは1988年で娘のMaya Dalla Valleが名前の由来です。
MDV
MDVMDVは、特別な年にのみ生産され、メーリングリストのみで販売される幻のワインです。マヤのベースであるマヤブロックの厳選されたカベルネ・ソーヴィニョンを100%使用。MDVはMaya Dalla Valleの略。1999年にチャリティーオークションロットのためにマヤブロックからカベルネ・ソーヴィニョンを造った際のワインが、現在のプロトタイプになっています。

近年のダラ・ヴァレ・ヴィンヤーズ Maya Dalla Valleの登場

Maya and Naoko Dalla Valle

Maya and Naoko Dalla Valle
参照元:napleswinefestival.com

1987年生まれの長女Mayaが10代の頃、彼女はワインやワイナリーには興味がないと主張していました。Mayaはコーネル大学で栽培学と醸造学の学位を取得し、ボルドーの科学農業大学でブドウ園とワイナリー管理の修士号を取得しました。

また、アルゼンチンのボデガ・ローラン・ワイナリー、フランスのシャトー・ペトリュス、シャトー・ラトゥールで修業を重ねました。

2017年、Mayaは故郷へ戻り、ダラ・ヴァレ・ヴィンヤーズのディレクターに就任。母ナオコはMayaがダラ・ヴァレ・ヴィンヤーズに参画する事を密かに夢見ていたと言います。カリフォルニアではワイナリーの後継者問題に直面しているケースが多い中、Mayaの参画は大きな1歩となりました。

最終的に娘であるMaya Dalle Valleがワイナリーのメイン生産者になり、これまでダラ・ヴァレ・ヴィンヤーズのワイン造りを指導してきた有名なコンサルタントから引き継ぐ事で家業を担っていく日も遠くはないでしょう。

テイスティング・レポート

Collina Dalla Valle 2014 vs Dalla Valle Cabernet Sauvignon 1995 vs Maya 1998
2020年4月9日

COLLINA DALLA VALLE 2014 vs DALLA VALLE CABERNET SAUVIGNON 1995 vs Maya 1998

Collina Dalla Valle 2014はコーヒー、カカオの香りが強く、甘草のニュアンスも取れる。味わいは甘い香りはするものの、甘みはソフトで酸味は比較的シッカリ残る。タンニンは収斂性があり長く続く。とてもセカンドとは思えぬクオリティ。

Dalla Valle Cabernet Sauvignon 1995は、25年の熟成にもかかわらず干しプラムというよりはブルーベリーやブラックチェリーのような果実が感じられる。若干ではあるが土や煙のニュアンスも取れる。味わいは甘みはソフトで控えめ。酸味はかなりシッカリしており、タンニンに収斂性は感じられず、むしろ溶け込んでいる。25年の熟成でこの酸味と果実味は驚きでした。素晴らしい!

Dalla Valle Maya Proprietary Red Blend 1998は、フルーツジャムの香りの中にスモーキーでスパイシーなニュアンスが取れる。カベルネ特有の杉や針葉樹の香りも若干取れる。味わいは甘みはソフトで酸味は比較的シッカリしている。タンニンはやや強め。

ヴィンテージや保存状態にもよるが、当編集部ではDalla Valle Cabernet Sauvignon 1995が圧倒的に高評価でした。

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ABOUTこの記事をかいた人

日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート
カリフォルニアワイン協会認定資格 California Wine Certification Program Level 2

2011年よりカリフォルニアワインのバックヴィンテージを追求。 ナパバレー、ソノマに足を運び数多くの名門ワイナリーを訪問。 主に海外のワインオークションで希少なバックヴィンテージを調達。

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